所得税は急に増えません。所得税は徐々に増えます

日本の所得税は、収入が300万円(さらに正確に書くなら330万円)などの税率の変わり目となるラインを1円でも超えただけで、急に増えるような仕組みではありません

また、海外FXの利益を調整する税金対策(節税)はできないこともないですが、正確な所得の計算ができるトレーダーに限られます。

さらに、海外FXで稼げる市場機会も考慮すると、ややこしくて不確かな税金の計算をする前に、ご自身の利益目標に向かって海外FXのトレードをすべきです。

以下に、収入が300万円を超えると急に税金が増えると言われる理由・間違った理解と、正確な税金の計算方法を順に説明します。

収入が300万円を超えると税金が急に増えると言われる理由

所得税が330万円を超えたら急に増えると言われる理由・根拠は、下記の国税庁のホームぺージにある「所得税の早算表」にあると思います。

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課税される所得金額 所得税の税率 所得控除
195万円以上 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
*1 2019年4月1日時点の所得税の速算表です。

上記の所得税の速算表を一目見ると、税金がかかる収入が330万円を超えるだけで、一気に税率が10%も上がるように見えます。

日本は「超過累進税率」なので、税金は急に増えません

所得税の速算表から「330万円を超えるだけで、一気に税率が10%も上がる」という理解は正しいです。

ただし、330万円を1円でも超えたら一気に税率が10%も上がって、支払う税金が急に重くなるという理解は間違っています

その理由は、日本が「超過累進税率」という仕組みを採用しているからです。

例えば、650万円の場合の所得税の正しい計算方法は、以下の通りです。

課税される所得金額 所得税の税率 支払う所得税
1段階 195万円 × 5% = 97,500円
2段階 135万円
(330万円 – 195万円)
× 10% = 135,000円
3段階 10万円
(340万円 – 330万円)
× 20% = 20,000円
合計 340万円 × 5%・10%・20% = 252,500円

上記の計算の様に、所得税の税率はどの金額の幅に対して×(カケル)のか決まっています。

この様な計算方法を超過累進税率と呼びます。*2

つまり、340万円 × 所得税の税率20% = 680,000円という計算は間違っています

そして、超過累進課税率の計算で、330万円と340万円の時を比べた時の税金の違いは、2万円になります。

*2 超過累進課税率の反対は「単純累進税率」です。340万円 × 所得税の税率20% = 680,000円という様な一段階だけの単純計算は、単純累進税率の計算方法になります。単純累進税率は、1円でも税率が変わるラインを超えると税金が一気に重くなる仕組みです。

複数回のめんどうな超過累進税率の計算を、簡単な1回の計算でする方法

段階的に計算をする所得税の計算は自力で出来なくもないですが、思った夜複雑でめんどくさいです。

そこで、所得税の計算を簡単に出来るように作られたのが、前述の「所得税の速算表」です。

課税される所得金額 所得税の税率 所得控除
195万円以上 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
*3 2019年4月1日時点の所得税の速算表です。

所得税の速算表の所得控除という項目を計算式に入れることで、1回の計算だけでおおよその所得税を求めることが出来ます。

先程の340万円の場合なら、次の様に計算するとおおよその税金が出てきます。

  • 340万円 × 税率20% – 所得控除42.75万円 = 252,500円

つまり、税率を掛ける金額に対して、適用される最大の税率を一つ掛けた後に所得控除額をマイナスするだけです。

超過累進税率の複数段階の複雑で面倒な計算を、所得税の速算表にある所得控除を使うことによって1つの簡単な計算式で所得税の計算を完了させられます。

「収入」と課税される「所得」が大きく違うことにもご注意

「収入」と税金がかかる「所得」は、まったく違う意味であることにご注意ください。

一般的にいう収入とは、社会保険料や控除などを全部を含めた給与明細に書かれている最も大きい金額を意味します。

そして、所得とは、配偶者控除や医療費控除など10種類以上の控除額を収入からマイナスして求められる税金がかかる金額を意味します。

  • 収入 – 控除(必要経費含む) = 所得

例えば、一年間の収入(年収)が300万円の独身の場合、税金がかかる所得は110万円程度になったります。

年収500万円の独身で、だいたい毎月30万円程度の給料になって、税金がかかる所得が230万円程度になったりします。

上記のように、一般的に言われる収入と税金がかかる所得が大きく違うことを忘れないでください

300万円(正確には330万円)を超えると所得税が上がると言われるとき、その300万円は税金がかかる所得です。年収ではありません。

所得は家族構成などで大きく違い、所得計算のためだけの計算ツールが出回っているほどややこしい計算になるため、簡単に手取りの給料や年収だけで所得はいくら?という決めつけは難しいです。

*4 サラリーマン(会社員)やアルバイト、パートのかたは、前年の所得を会社から年末年始に受け取る源泉徴収票で確認できます。

海外FXの利益を調整する3つの方法

所得税の計算方法と、そもそもの所得の計算の難しさは理解いただけたでしょうか?

それでも、正確に所得の計算ができている場合に限られますが、海外FXの利益を税率が上がるギリギリのラインまでに調整したいという気持ちは理解できます。

海外FXの利益を調整する方法は、次の3つあります。

  1. 海外FXのトレードを止めて、これ以上稼ぐのをやめる
いま以上に利益をあげないようにするだけです。
  1. オープンポジションのまま年越しする
その年の海外FXの利益に含まれるのは、決済して確定した利益だけです。
  1. 海外FXの必要経費を増やす
海外FXの利益を使って海外FXの為のセミナー参加など経費を使うだけです。

既に前段で説明したように所得税は突然上がるわけではないため、海外FX以外の収入・控除額など所得の計算が正確に行えない場合は、利益の調整はおススメされるものではありません

*5 海外FXの必要経費は、海外FXのために必要だった経費に限られます。行き過ぎた経費の計上は、後日バレた場合に無申告加算税など通常より重い税金が課せられる罰則の対象になりえます。ご注意ください。

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