2016年11月30日、CySEC (キプロス証券取引委員会)は、過去数年にわたり急増したFX会社やバイナリーオプション業者への規制強化と投資家保護のために、2017年よりCySECにおけるレギュレーションに新方針を適用することを決めました。

CySEC (キプロス証券取引委員会) 2017年投資家保護のための新方針適用について - ボーナスやレバレッジの運用が変わります

CySECは、CySECブローカー (海外FX会社、海外BO業者)の運用について、幅広い項目で新しい運用ルールを公開していますが、以下に、利用者(トレーダー)に直接影響の出る項目を4つまとめます。

1. 投資経験に合わせたレバレッジ

今回、最も大きな影響を与えるとみられるのが、このレバレッジ制限です。

口座開設時にこれまでの投資経験について回答する場面がありますが、これまでは形式的なものでした。

しかし、CySECの下で活動する多くのCySECブローカーは、トレーダー別に2017年より投資経験のアンケートを踏まえたレバレッジの提供を始めます。

今後、みんなで海外FXでは、この投資経験に合わせたレバレッジ規制をわかりやすくするために「スターター・レバレッジ」と呼びます。

スターター・レバレッジは50倍

CySECが提示するスターター・レバレッジは、投資経験の浅いトレーダーへは上限を50倍とし、下限はありません。

そして、会員ページなどの仕組みを整備し、口座開設後にレバレッジ引き上げの変更が手続きできるように求めています。

投資資金制限も開始

CySECは、スターター・レバレッジの制限とともに、「顧客が一定期間に取引することができる金額を制限すること」と要請しています。

2017年以降、新規で口座開設される際には、投資資金にも上限が設けられる可能性にも留意してください。

2. モラルあるボーナスキャンペーン

2つ目は、ボーナス・プロモーション (キャンペーン)についてです。

CySEC規制下のCySECブローカー (海外FX会社、海外BO業者)は、ボーナス・プロモーションが活発なことが特徴でした。

CySEC規制下のCySECブローカーに人気が集中していたのは、派手なボーナス・プロモーションとハイレバレッジが最も大きな理由です。

2017年からは、CySECは、基本的姿勢としてFX会社による顧客へのボーナスの提供を推奨しないとしています。

また、あらたにCySEC規制下の取引口座でボーナスやなんらかのインセンティブ、FX取引以外の利益提供や勧誘のための広告は、方針を新しくしたCySECへの申請と許可が必要となります。

これに伴い多くのCySECブローカー (FX会社)は、ボーナス・プロモーションの中止を決定しました。既に、多くのCySECブローカーでこれまで実施されていたCySEC規制下の口座への口座開設ボーナスや入金ボーナスが終了しています。

3. マイナス残高の保護

CySECは、正式にレギュレーション全体でのゼロカット対応を決めました。

今回、CySECの発表文の中で、ゼロカットについて以下のように言及しています。

顧客の損失が、顧客の投資可能な資金を超えることがないよう努めること。

これまで、追加証拠金の借金となる部分(口座残高がマイナスとなった場合の金額)を各CySECブローカーは任意でゼロカット対応してきましたが、今回のCySECの要請を受けて、2017年からはCySEC規制下のFX会社ではほぼゼロカット対応となることが予想されます。

※ゼロカットは、和製英語です。原文では、ネガティブ・バランス・プロテクション (negative balance protection)と記述されています。

4. 証拠金出金は原則翌日処理 (出金の円滑化)

4つ目は、FX口座からの出金手続きについてです。

2017年から、CySECは、CySEC規制下のブローカー (海外FX会社、海外BO業者)に対し、トレーダーより出金依頼が提出された日もしくはその翌営業日までに、CySECブローカー側における出金処理を完了することを要請します。

既に、FCAなど一部のレギュレーターでは対応が必須となっていた出金処理の円滑化をCySECも取り入れることとなりました。

既に対応は始まっています

今回のCySECにより打ち立てられた新方針は既に各海外FX会社、海外BO業者では対応が始まっています。

ここで解説したCySEC新方針は、上記4つの他に取引の仕組みや財政面でも多くの要請を含んでいます。

新方針の影響については各社の対応次第となりますが、次のリンク先は、影響の出る可能性のあるCySECへ登録のある海外FX会社の一覧です。

CySECライセンスFX会社一覧

CySEC新方針にかかわるFAQ

みんなで海外FXでは、次のリンク先に、この新方針について想定される問答 (FAQ)をご用意しました。

上記と合わせてご確認ください。

CySEC 2017年新方針 想定問答集