ビットコインゴールドが51%攻撃で不正な取引

仕組みの穴「51%攻撃」

仮想通貨の仕組みは実によくできているが、その仕組みの穴を突いた行為に「51%攻撃」というものがある。

ビットコインゴールドが狙われた

この攻撃は仮想通貨の仕組みを根本から揺るがすものとして危惧されていたが、最近になって51%攻撃がビットコインゴールド(Bitcoin Gold、BTG)に対して行なわれたという情報が流れた。

51%攻撃とは、どういうものか?

まずビットコインゴールドとは

まずビットコインゴールドについて説明しておこう。

ビットコインキャッシュに続き分裂した仮想通貨が「ビットコインゴールド」

ビットコインゴールドはビットコインではないが、ビットコインから昨年10月に分裂してできた新しい仮想通貨だ。

ビットコインは昨年夏に最初の大きな分裂があり、ビットコインキャッシュという新仮想通貨が誕生した。ビットコインゴールドはそれに続く、2回目の大きな分裂でできた通貨だ。

取引も順調だったビットコインゴールドに51%攻撃

昨年は仮想通貨が世界的ブームになったため、多くの仮想通貨が誕生した。

しかし新しい仮想通貨の洪水の中にあっても、最大規模のビットコインから分裂したビットコインゴールドは埋もれずに取引量も順調に増えていった。

しかしそのビットコインゴールドだが、最近になって51%攻撃を受けたという情報が流れた。

では「51%攻撃」とはどういうものなのか?

全てを説明すると非常に長くなるので、ここではやや簡素化して説明してみよう。

仮想通貨は、単一の発行体がない通貨

仮想通貨は国など単一の発行体がない通貨として知られている。

そのため仮想通貨の取引も取引所のような場所に大きなコンピューターがあり、それが全てのシステム処理をしているわけではない。

仮想通貨の「マイニング」により成り立つ

仮想通貨の取引処理は、世界の有志が提供した無数のコンピューターによって行なわれる。

そしてシステムを提供した者は、その見返りとして微量の仮想通貨を受け取ることができる。これがいわゆる仮想通貨の「マイニング(採掘)」になる。

だが無数のコンピューターで処理が行なわれるとしたら、「どの取引が正しいものか」を判断しなくてはならない。

そこで仮想通貨取引では、「多くのコンピューターで行なわれた方の取引を正しいものとする」というルールが決められている。

そのためある仮想通貨取引のシステム処理において、もし何者かが世界のシステムの51%以上をコントロールしていたら、その者は将来の取引を自由にコントロールできてしまう。

これが「51%攻撃」と言われる行為になる。

仮に、51%攻撃が成功したら、何が起きるのか

51%攻撃に成功したら、何が可能になるのか。

例えば仮想通貨で支払いをするにあたって、同じ通貨を2回使って二重に支払いをすることが可能になるという。

他人から盗むことはできない

ただし他人のウォレットから仮想通貨を盗んだりはできない。

他人の仮想通貨はすでに終わった過去の取引の結果であり、51%攻撃ができても過去の取引記録を書き換えることはできないからだ。

ビットコインゴールドへの51%攻撃では、10億円の損失が発生

そして最近行なわれた51%攻撃では、海外のビットコインゴールドを扱う取引所がそのために日本円にして10億円以上という多額の損失を受けたと見られている。しかし詳細はまだ明らかになっていない。

51%攻撃は、規模の小さい仮想通貨が狙われる

51%攻撃は比較的規模の小さい仮想通貨の方がやりやすく、ビットコインなど大規模のもので行なわれる可能性は低い。

だが今回ビットコインゴールドで行なわれていたのが間違いなく51%攻撃なら、仮想通貨の仕組みを揺るがす大事件と言える。

iFOREXコラムについて

iFOREXコラムは、海外FX会社 iFOREX (アイフォレックス)にて配信されている鳥羽賢氏による金融・経済にまつわる時事コラムです。海外FX会社の最新の動向や仮想通貨・暗号通貨などに関する金融業界コラムを配信中です。みんなで海外FXでは、注目度の高い話題を中心に鳥羽賢氏iFOREXコラムをピックアップしてご紹介しています。

過去のiFOREXコラムのピックアップ記事一覧は、コチラ

最新の記事や鳥羽賢氏につきましては、iFOREX 公式サイトでご確認ください。

iFOREX 公式サイト