難民で仏伊間に亀裂

2015年夏に問題化した「難民危機」

数年前までEU内で難民が大きな問題になることはなかったが、2015年夏には主にシリアなど中東から大量の難民が欧州に押し寄せ「難民危機」と言われた。

この時あまりに多くの難民が陸路で欧州に向かったために、EU内の多くの国はシェンゲン協定によって開放していた国境を閉ざして難民の流れを止めざるを得なかった。

2016年前半には、送還の協定が結ばれた

2016年前半にはEUとトルコが難民に関する協定を結び、トルコからギリシャに上陸した難民をトルコに送還することで合意。

またハンガリーやクロアチアといった国が国境を閉ざしたため、ギリシャから北上してドイツなどに辿りつくルートは絶たれた。

ルートが変わっただけに

ここで一旦難民問題は沈静化したかに見え、これ以降は難民問題に関する報道も激減した。

しかし難民問題はまだ終わってはいなかった。

トルコからギリシャに船で渡り、そこから陸路で北上して欧州の中心部を目指すルートはもう使えなくなった。

その代わりに、これ以降難民達はアフリカから地中海を船で渡ってイタリアに上陸するルートで欧州にやってくるようになる。

2016年以降も難民は押し寄せ続けた

だから2016年以降もイタリアには難民が押し寄せ続けてきていた。

2015年夏の難民危機当時ほど多数ではないためあまり報道はされず、イタリアも最初は受け入れを続けてきた。

だがここにきてイタリア人の中に「もう限界」と考える者が増えてきたため、今年3月の総選挙では難民に厳しい極右政党が第1党となった。

イタリアの連立政権発足後、早速難民に厳しい政策が始まった

総選挙後なかなか連立政権が成立しなかったものの、6月1日頃になってようやく成立。

この政権は難民の厳しい政策を取る連立政権だったため、発足直後の6月10日頃にイタリア近海に停泊していた600人あまりの難民を乗せた船の、イタリア入港を早速拒否した。

この船は結局スペインが受け入れを表明したが、この件に関してフランスは厳しくイタリアを批判。しかしイタリアも反発し、13日の財務相のフランス訪問が中止となった。

今度も難民はイタリアへやってくる

難民問題はこれで終わりではない。

今後も難民は次々とイタリアにやってくるし、その度にイタリアは受け入れるか、あるいは周辺国からの反発を受けても拒否するか選択しなくてはならない。

そして現在の政権は無理して受け入れる気はない。

EUの新たな三大国、仏独伊

イギリスは2016年6月にEUから離脱を決め、その後は仏独伊がEUの新しい「三大国」となった。

実際にイギリスが離脱を決めた直後、仏独伊の首脳がカメラの前で手を取り合って「EUの結束」をアピールしていたものだ。

フランスとイタリアの亀裂

だがここに来て、フランスとイタリアの間に亀裂が生じている。

そしてこの亀裂はまたも難民問題から来ているもので、近い将来修復できるという保証はない。

イギリスが抜け残った三大国間で亀裂が深まれば、EUの将来はかなり厳しいものになっていくだろう。


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