合意以前の状態に戻るか?

イランの核開発問題

イランの核開発問題はかなり前から存在してきた。

2000年代からイランが核兵器を開発しているという疑惑があったため、欧米諸国は2006年頃からイランに原油禁輸の制裁を開始。

イラン産の原油は、2016年初頭から市場に出回る

その後長い間制裁を受けつつ核問題は進展しなかったものの、2015年に当時のオバマ政権とイランが国際社会の核査察を受け入れることで合意。

2016年初頭から原油禁輸が解除され、イラン産の原油がまた世界の市場に出回るようになった。

トランプ政権になって状況が一変

ところがトランプ政権になって状況が変わる。

トランプ大統領はイランが合意を遵守して核開発を止めているという点に懐疑的であり、今年の5月に合意から離脱すると発表。

その時はまだ他の同盟国に対し同様に離脱するよう求めてはいなかった。

米国は同盟国へ、イランからの原油輸入を停止するよう要求

しかし最近になって、日本や他の同盟国に対してイランからの原油輸入を停止するよう要求してきた。

これが実現されれば、イランとの核合意があった2015年以前の状態に戻ることになる。

原油価格への影響

実現されるかどうかはまだわからないが、この措置が実現されれば原油価格への影響は大きい。

2015~16年は原油価格が30~50ドルで低迷していた時期だったが、これはイランから国際社会への輸出が再開されたことも大きな要因だったと思われる。

原油は上昇している

そして最近では原油がまた上昇し、70ドルに到達している。

原油が上昇している原因にはいろいろあり、産油国が減産を続けていることもその1つだ。

しかしアメリカがイラン核合意から5月に離脱したことも上昇要因の1つになっている可能性が高い。

日本にとって厳しい要求

この要求は日本にとって二重の意味で厳しい

1つはアメリカだけではなく日本や欧州各国がイラン産原油の輸入を停止すると、原油価格に上昇圧力がかかること。

それは日本にとって国内ガソリン価格の上昇という形で反映される。

もう1つは日本の原油輸入はイラン産が約5%を占めているため、日本は代替輸入先を見つけなくてはいけないこと。

こちらも同じく日本国内のガソリン事情などを悪化させる要因となる

そのため日本としては簡単にアメリカの要求を飲んでイランからの原油を停止することはできない。

しかし(他の多くの政策と同様)この件に関し、トランプ政権はかなり強硬に他国にイラン原油の輸入停止を迫るつもりでいる。

アメリカに強硬に迫られた時、日本は難しい立場になるかもしれない。


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