ドイツも国境管理を強化

「1つの欧州」の下、様々なものが自由化されてきた

EUは「1つの欧州」の理念の下、シェンゲン協定によって加盟国間の人やモノの移動を自由化してきた。

この協定が発効されてから、EU圏内では国境間の移動でもパスポートなどを提示する必要がなくなっていた。

深刻化している難民問題とその対応

しかし数年前から深刻化している難民問題のため、この協定はすでにかなり崩れている。

先月末にはEUの首脳会議で、EU圏外に難民を審査する施設を作ることで合意。

またドイツでは連立政権内のキリスト教民主同盟(CSU)が、最近メルケル首相に対して国境管理の厳格化を要求。

受け入れられない場合は連立解消も辞さない構えだった。結局今週になってメルケルが折れ、国境管理を強化することで同意した。

オーストリアなど、他国の続く可能性

だがこれによって、オーストリアなど他の国も同様の措置を取る可能性がある。

もともとハンガリーやチェコなど東欧の国は2015年の難民危機以来ずっと国境管理を厳格化し、難民の流入を抑制している。

そこにきてドイツなど中西欧の国も国境を閉ざしたら、シェンゲン協定の有名無実化が進行する

国境管理も難民問題の解決にはほど遠い

そして問題は、国境管理を厳格化しても難民問題の解決にはほど遠い点にある。

2015年夏には欧州に難民が殺到し、2016年初頭にトルコと難民に関する協定を締結してトルコ経由の難民の流れを止めることができた。

しかしその後難民は地中海を渡ってイタリアに上陸するルートで、欧州に向かい続けてきた。

そのためイタリアに多くの難民が駐留しイタリアの負担が増え、去年の総選挙では難民に対し厳格な政策を取る極右政党が勝利した。

イタリアも「もうこれ以上難民を受け入れることは無理」というメッセージを出し始めている。

その一方でこれまで比較的難民を受け入れてきたドイツなども断り出したら、難民は行き場がなくなる。

難民はこれからもやってくる

行き場がなくなったからと言って、中東やアフリカからの難民が欧州にこなくなることはありえない。

何らかの大胆な対策がない限り、難民はこれからもやってくるだろう。

そしてドイツやイタリアなどEUの主要国が受け入れをやめると、難民にどう対処して良いかわからなくなり、EU内で大きな混乱になることも考えられる。それはEUの存続の危機にもつながる。

シェンゲン協定は有名無実化とともに、ユーロの将来もかなり危うくなる

2015年夏の難民危機以来、多くの国が国境管理を復活させシェンゲン協定は有名無実化に近付いている。

すでにシェンゲン協定は崩壊に向かっているが、「1つの欧州」の理念が崩れたら、EUあるいは統一通貨ユーロの将来もかなり危うくなる。

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