異次元緩和政策が始まったのが2013年4月なので、すでに開始から5年以上が経過した。
日銀が目標とする物価上昇率2%の達成は見えないのだが、日銀は緩和を縮小したり終了するという話を全く出さない。しかし実際に国債の購入額は減少し、事実上の緩和縮小が進んでいる。
緩和の開始から5年が経過
日銀が異次元緩和を開始してからすでに5年以上が経過した。
しかし当初「2年で達成する」と述べていた物価上昇率2%の目標が達成できないため、緩和の縮小・終了を切り出すことができないままここまできた。
これまで異次元緩和政策でやってきたこと
これまで異次元緩和政策でやってきたことはいろいろあるが、最も重要な政策は「日銀が国債を大量に買い入れ、マネタリーベースを増やしていく」というものだった。
マネタリーベースとは日本の国内に出回っているお金の総量のこと。
マネタリーベースは緩和を開始する直前の2013年3月末時点で135兆円だった。
それを2年間、つまり2015年3月末までに2倍程度、つまり270兆円にすることで、物価上昇率2%も達成できると黒田総裁は話していた。
その後マネタリーベースの推移はどうなったか?
2014年3月末には220兆円になっており、緩和の1年目で85兆円も増やしていたことがわかる。
2014年10月には消費税増税の影響を緩和するために、国債購入額を年80兆円程度に増額すると発表したこともあり2年目も順調に増え、2015年3月末には295兆円だった。
この時点で当初の目標だった「2年後に270兆円」は達成しているが、2%の方の達成が全く見えないので異次元緩和は続けられる。
2016年3月末には375兆円と、3年目もかなりのペースで買い入れが行われた。
しかし2017年3月末時点では447兆円であり、4年目の1年間で68兆円の増加とややペースが落ちた。
そして今年・2018年の3月末には、487兆円とわずか40兆円の増加に留まってしまった。
すでに事実上縮小している状態
最新の数字である2018年6月末時点では503兆円で、前年同月から35兆円程度しか増えていない。
つまり日銀は「緩和を縮小する」と発表はしていないが、すでに事実上縮小している状態になる。
緩和政策が事実上縮小している理由
この理由はいくつか考えられるだろう。
1つには2017年から景気の回復傾向が見え株価も上昇したため、以前ほど大量に国債を購入する必要がなくなってきたこと。
しかしもう1つには、これまでの長期にわたる緩和で日銀が国債を買い過ぎて、国債市場に買える国債が少なくなってきている点がある。
日銀の緩和ペースが落ちている主な理由が前者だとしたら、景気回復のためにペースを落としたという歓迎すべき変化になる。
しかし主な理由が後者の国債枯渇だとしたら、このペースダウンは歓迎すべきことではなくなる。
国債が枯渇しているためにペースが落ちているなら、それは異次元緩和の「限界」を示している。
日銀に残された手は少ない
これまで5年間も国債を大量に買い続けて、ついになくなってきてしまった。
今は景気が回復傾向にあるのでまだ良いが、今後景気が後退に向かってもこれ以上国債が買えなくなる。
そうなった時、日銀に残された手は少ないだろう。
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(海外FX会社)
41のコメント
2024年2月9日
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