世界経済は壊滅の瀬戸際

歴史に残る「リーマンショック」

アメリカの投資銀行・リーマン・ブラザーズが破綻したのが、2008年9月15日のことだった。

その後しばらくは株式市場も比較的落ち着いていたが、10月になって世界中の株式市場が大暴落。

これが証券市場の歴史に残る「リーマンショック」だった。

きっかけは、2007年の夏

リーマン・ブラザーズ破綻のきっかけは、2008年ではなく前年に生まれていた。

2007年の夏に、アメリカで低所得者向けの住宅ローンとして広まっていたサブプライムローンの多くが返済不能になるという懸念が浮上。

サブプライムローンは関連のデリバティブ商品が多く出回っていたので、これが金融不安の始まりとなった。

そしてサブプライムローン関連の損失から立ち直れず、翌年にリーマン・ブラザーズは破綻した。

世界の株価は大暴落

リーマンショックで世界の株価は大暴落。

急激な株価の暴落はあらゆる業界で生産の縮小を招き、世界中で労働者が次々と解雇され失業率は急上昇した。

GDPも多くの国でマイナスになり、世界経済は壊滅的な打撃を受けたかに思われた。

世界経済は意外なほどの回復力を見せた

というのがリーマンショック直後の2009年の状況だったが、ここから世界経済は意外なほどの回復力を見せる。

回復のけん引力となった国の1つがアメリカで、アメリカは2008年からすぐに量的緩和を開始。

開始した直後はそれほど効果は見られなかったが、2013年頃からアメリカ経済の回復が顕著になり、失業率も急低下してきた。

中国は、中国経済をいち早く回復、他国の経済の回復を後押しした

もう1つのけん引力は中国だった。

2000年代は毎年10%以上の高成長を続けてきた中国にはリーマンショック直後も多少余裕があり、大規模な公共投資を実行。

これが中国経済をいち早く回復させ、他国の経済の回復を後押しした。

そしてリーマンショックから10年が経った

そして10年が経ったが、世界経済はリーマンショックから十分回復したと思える部分もある一方で、まだ傷跡が残っている部分もある。

十分回復しているのは株価で、アメリカのダウ工業平均はとっくにリーマンショック前の高値を更新した。

またNASDAQ総合指数については2007年の高値どころか、2000年のITバブルの天井すらも超えて上がり続けている。

主要各国の政策金利は戻れていない

しかしその反面、リーマンショック前の状態に戻れないものもある。例えば主要各国の政策金利。

リーマンショック前は日本だけがバブル崩壊以後の景気低迷が長期化し、ゼロ金利政策を続けてきた。

それに対して欧米などは、好景気なら金利を4~5%程度にまで上げられる余裕があった。

各国が「日本化」

それがリーマンショック以降変わり、各国とも金利を上げる余裕がなく、低金利政策を続けるようになった。

言ってしまえば、各国が「日本化」してきたことになる。

アメリカはここ数年非常に景気がいいので利上げを続けてきたが、現在の金利は1.75~2%と、リーマンショック前のピークである5.25%にはほど遠い。

ユーロ圏やイギリスはまだ金利が1%未満だし、オーストラリアやカナダも2%を下回っている。これはリーマンショック前と比べると相当な低金利水準だ。

富の二極化

また金融緩和は株価の上昇で富める者をさらに豊かにするが、貧困層には必ずしも恩恵はなかった。

アメリカの低所得者層が受けられる食料引換券「フードスタンプ」の受給者は、リーマンショック前は2,700万人程度だった。それがリーマンショック後に急増し2013年には4,700万人を超える。それから減少に転じ、今年になってようやく4,000万人を超えるところまで減った。

しかしそれでもリーマンショック前よりかなり多い。

リーマンショック以降の変化は、二極化を生みだした

このようにリーマンショック以降の10年で前よりも豊かになった人・企業がある一方、十分回復できていない者もいる。

リーマンショックとそれ以降の大きな変化は、変化に乗れた者と取り残された者の二極化を生みだした。

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