今年に2回の流出事件

3月中旬に判明したFacebookの情報流出事件のことを覚えているだろうか?この事件は英ケンブリッジ大学の教授が、学術目的のためにFacebook上で多くの人々の個人情報を集めるためにアンケートを行ったところから起こった。

集められた個人情報は純粋な学術目的で、外部には漏出してはいけないはずだった。ところがいつの間にか、この個人情報がイギリスのコンサルティング会社・ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)に流出していた。

その後判明したところでは、流出した個人情報は8,700万人分にもなるらしい。日本の人口の3分の2程度だから、途方もない量になる。そしてこの情報が2016年の米大統領選で、トランプ陣営に有利に働きかけるために使われたという疑惑も浮上していた。

この件はFacebookの上場以来最大のスキャンダルとなり、世論の批判の高まりからFacebookは今後個人情報保護のための投資額を増やすことを余儀なくされた。セキュリティへの投資額の増大は今後の収益を圧迫し、またこの事件のためのユーザー離れも進行。こういった見通しが発表されたために、7月26日にFacebookは20%近く大暴落した。

しかしこの事件からまだ日が経っていないのに、Facebookでまたも大規模個人情報流出事件が発生した。事件はFacebookが9月28日に明らかにしたもので、最低でも5,000万人、最大で9,000万人程度の個人情報が流出したという。

9月の事件は3月のものと違い、Facebookに対しハッキングされて個人情報が盗まれたという。そのためFacebookは盗まれた可能性がある者も含め9,000万人分のアカウントを、一旦強制的にログアウトさせた。

そして9月の事件発覚以来、Facebookの株価は一段と下がった。もともと7月26日の暴落以降は2ヶ月間さえない動きが続いていた同社の株は、9月27日の終値は168.84ドルだった(7月の暴落前は217ドル)。

ところがこの事件以降の3営業日でFacebook株 [i] は下がり、10月2日には一時158.67ドルをつけた。この価格は7月の暴落以降の最安値となる。つまりFacebookは暴落前の勢いを取り戻すどころか、暴落以降下げが続いている。

Facebookは最近まで毎回の決算で2桁の増収増益を発表し、株価も上昇。アメリカの株式市場で好調な銘柄の代表格として、FAANGと呼ばれる銘柄の1つとなった。しかしここにきて個人情報問題から成長や株価に陰りが見えてきている。Facebookは個人情報問題を克服し、また成長軌道に乗ることができるだろうか?それはFacebookの努力次第でしかない。

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