株式の売却益や配当などの所得、つまり金融所得と呼ばれる所得に対して増税すべきという声が最近一部であがっていた。

しかし現在の状況を見て増税は時期尚早という声が与党内でも高まり、来年度の税制改正での増税を見送ることを決定した。

株価下落を懸念し見送り

株式の売却益や配当などから得た所得への課税方式は申告分離課税で、給与所得などとは別の税率が適用される。給与所得などは累進課税で、地方税を合わせると最高税率が55%になる。その一方で金融所得は地方税を合わせて一律約20%(大震災の復興特別税があるため端数が入る)で、いくら稼いでも変わらない。

これが「不公平だ」「格差拡大につながる」として、一部で批判を呼んでいた。株式を購入して売却益や配当を得られるのは中上流層で、お金のない人々は株を買うことができない。そして株を買って利益を得られるような層に対し、約20%の低税率が適用されることが問題だと言われていた。

そのため金融所得への増税も政府で検討されていたが、1日になって来年度の税制改正での増税は見送りとされた。見送りにされた主な理由は、株式市場への悪影響を懸念してのことだと思われる。

株式からの所得に増税されるとなれば、当然株を買おうという人は減る。そうなると株価が下落するか、あるいは将来的に上昇は望めなくなる。それを嫌がる現政府は、増税を見送ったのだ。

反対に株式市場活性化のために、金融所得に減税をしたこともあった。2000年頃は現在とほぼ同じ20%だった税率だが、2001~02年に株式市場が低迷し日経225平均 [i] が10,000円を下回る時期が続いたため、2003年から10%への減税を決定。その措置は当初数年間の時限措置だったはずが、なかなか元に戻せずに2013年まで延長された。そして2014年にはようやく20%に戻す代わりに、NISA(少額投資非課税制度)が導入された。

金融所得の税率は、当然ながら世界各国で違う。中には香港のように金融所得に対して原則非課税の地域もある。そしてアメリカの税制を見ると、株式を短期的に売買すると税率が高くなり、長期保有してから売ると税率は低くなる。つまりデイトレードよりも長期投資に有利な税制になっている。

各国がそれぞれの事情に合わせて税率を決めていることは言うまでもない。日本の場合、1990年のバブル崩壊以降株式市場は長期低迷が続いてきた。そのために株式売却益への増税はかなり難しい時期が続いている。そして安倍政権になって株価は上昇したが、安倍政権の場合は株価が経済政策の大きな成果と見られているので、同じく増税して株安になるリスクは取れない。

どちらにしても今のところ日本で金融所得への増税が行われる可能性は低いため、その点は安心してもいいのではないだろうか。

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