市場を動かした要因は?

2018年もあと2ヶ月弱となり、金融市場にとっての重要イベントはかなり残り少なくなった。あと残った重要イベントは、12月19日の米FOMCくらいと言ってもいい。そして12月のFOMCでも政策金利の0.25%引き上げがほぼ確実と見られており、それ以外の結果が出てくる可能性は低い。そのために利上げが発表されても市場にはインパクトが少なく、市場が大きく動くことは考えにくい。

もともと今年は大きなイベントが少ない年だった。2017年には欧州で重要な選挙がいくつかあり、2016年にはイギリスのEU離脱を問う国民投票や米大統領選があった。それに比べると、今年予定されていた市場が荒れそうなイベントは、今月の米中間選挙くらいだった。

1つはアメリカ経済の「一人勝ち」の調整

イベント以外に今年の金融市場を動かしてきた要因は3つほど考えられる。1つはアメリカ経済の「一人勝ち」によって生まれてきた市場の歪みの調整。今年は1月・10月と、株式市場は2回の世界的暴落を経験した。それはどちらも、アメリカの高金利傾向が引き金になったと見られている。

1月の時は、FRBが今後も利上げを継続していく見通しが高まったことが最初の引き金。10月は米長期金利の上昇だった。どちらもアメリカ経済が好調なために、金利が上昇傾向になったことが暴落のきっかけとなった。

2つ目は、政治的緊張の高まり

今年の金融市場を動かしてきた要因の2つ目は、政治的緊張の高まり。今年の前半は北朝鮮がミサイル発射行為などを行い、緊張が非常に高まった。北朝鮮関連のニュースが流れると、株式市場が下落したものだった。だが6月に行なわれた米朝首脳会談で米朝の緊張が少し緩和できたために、年後半は北朝鮮情勢で市場が動くことはなくなった。

3つ目は、アメリカと各国との貿易戦争懸念の高まり

3つ目はアメリカと各国との貿易戦争懸念の高まり。今年になってからトランプ政権はアグレッシブになり、世界各国に対し貿易赤字是正を目的として追加関税をかけるようになった。特に中国に対しては知的財産権の問題もあって厳しい姿勢で臨み、それに対して中国も報復措置を次々打ち出し、米中貿易戦争の様相が高まった。米中貿易戦争が激化する見通しが高まる材料が出ると、それを懸念して株が下がることがよくあった。

残る大きなイベントは12月のFOMC

今年の残る大きなイベントは12月のFOMCのみで、それも利上げがほぼ確実と見られておりサプライズは考えにくい。そして今年金融市場を動かしてきた以上の3つの要因のうち、北朝鮮についてはかなり落ち着いている。となると、残り2ヶ月弱で市場が大きく動く可能性があるとすれば、米中貿易戦争が新たな展開を迎えた場合くらいではないだろうか。

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